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 地域資源紹介

ヤコウタケ
ヤコウタケ

八丈島の光るキノコ

指定されている場所:八丈町

発光する生き物といえば、ホタルやホタルイカ、チョウチンアンコウが有名です。光る生き物の中には発光する菌類・キノコも知られています。2018年の時点で、世界には102種類、日本には14種類の発光キノコが学術的な論文に記載されています。八丈島にはそのうちの「ヤコウタケ」、「エナシラッシタケ」、「シイノトモシビタケ」、「ギンガタケ」、「スズメタケ」、「アミヒカリタケ」の6種が生息しています。さらに未記載種のアリノトモシビタケ(仮称)を加えると7種類の発光キノコが見つかっています(2018年現在)。八丈島は、日本で一番多くの種類の発光キノコが自生する珍しい島です。

ヤコウタケ

ヤコウタケヤコウタケ

「ヤコウタケ」Mycena chlorophos)「夜光茸」は、発光キノコの中では最も強く光るとされるキノコ。ヤコウタケが10本集まれば、闇夜でも書かれた文字が読めるとさえ言われるほどです。東南アジアの熱帯地方や、台湾、日本に分布します。ヤコウタケは6月から9月、つまり梅雨から秋雨の期間に、ビロウヤシやフェニックス・ロベレニーの幹や枯れた葉柄(ようへい)から、直径10〜30mmの薄い灰色ないしは白色の「子実体」、つまりキノコを出します。明るいところでヤコウタケを見ると、表面は粘性のあるゼラチン質で覆われていて、テカテカとしています。ヤコウタケは、柄の部分は光らずに、傘全体が光るのが特徴です。ヤコウタケの毒性は見つかっていませんが、カビ臭くて水っぽいため、食用には向いていません。ヤコウタケの学名 Mycena chlorophos の種小名chlorophos クローロフォースは、ギリシア語クローロス 「緑色の、黄緑色の」にフォース 「光」を足したもの。ヤコウタケが緑色に発光することに由来します。ちなみにクローロスは、クロロフィル「葉緑素」という言葉にも使われています。

エナシラッシタケ

エナシラッシタケエナシラッシタケ
写真提供: 特定非営利活動法人八丈島
観光レクレーション研究会

「エナシラッシタケ」Favolaschia pezizaeformis)は、傘の直径が1〜5mmの小型のキノコ。柄がないために「エナシ」という名が付いています。八丈島では、5月〜10月に見られ、ビロウヤシなどの枯れた葉や花柄などに、7〜20数個の管孔(かんこう)と呼ばれる穴をもった子実体を作ります。光量はヤコウタケほどではありませんが、群生すると夜空にちりばめられた星のように明るく光ります。

その他の光るキノコ

「シイノトモシビタケ」Mycena lux-coeli)は、傘の大きさが10〜30mmの八丈島原産のキノコ。八丈島では「鳩の灯」として古くから知られていました。スダジイの朽ちた部分に生えるため「椎(しい)の灯火(ともしび)」という和名が付けられました。現在では八丈島以外にも、和歌山、大分、宮崎、高知など各地で相次いで発見されています。

「ギンガタケ」Resinomycena fulgens)は、スダジイの腐りかけた樹皮に、梅雨や秋雨などの雨が続くと発生する、傘の直径が2〜5mmのキノコ。群生するギンガタケを見上げると、まるで「天の川」が光っているように見えるために「銀河茸」という和名が付けられました。

「スズメタケ」Dictyopanus gloeocystidiatus)は、傘の直径が1.5〜7mmで半円形のキノコ。傘の内側には小さい管孔が多数開いています。光量が弱く、発見は困難です。

「アミヒカリタケ」Filoboletus manipularis)は、シイノキ、タブノキ、クスノキ、ヤブツバキなどの切り株や倒木などに群生します。光力が弱く、発光しないものもあります。

「アリノトモシビタケ」(仮称)は、小さくて光量の弱いキノコで、未記載種です(2018年現在)。 このように、八丈島の光るキノコには、比較的見つけやすいものから、専門家でないと発見が困難なものもあります。

光るキノコが光る理由

なぜ、光るキノコが発光するのかという理由に関しては、「光を使って昆虫を誘って胞子を運んでもらう」という説や、「発光には特に意味がなく、たまたま人の目に光って見えているだけ」という説もあり、正確な理由はわかっていません。

光るキノコの発光メカニズムは、近年ようやく解明されました。多くのキノコに含まれている「ヒスピジン」というフェノール性化合物と、発光キノコだけに含まれる酵素とが反応することで緑色に光ります。この反応は発光キノコ全般に共通していて、ルシフェリンという物質と酵素のルシフェラーゼとの反応で光るホタルや発光バクテリアとは、違う仕組みで光っていることが明確になりました。

八丈植物公園内にある「八丈ビジターセンター」では、一年間を通じてヤコウタケが展示されていて、発光の様子を観察できます(ただし、キノコの状況によって見られないこともあります)。

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