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 地域資源紹介

東京しゃも
東京しゃもの雄と雌 写真提供 東京都農林水産振興財団 青梅畜産センター

東京しゃも

■指定されている場所:立川市、青梅市、あきる野市

「東京しゃも」とは、改良した純系の軍鶏(しゃも)ロードアイランドレッド種を交配させて造ったブランド鶏です。しゃも独特の歯ごたえや食味があり、ブロイラーと比べると、タンパク質に富んでいて脂肪が少ないのが特徴です。

しゃも鍋の起源

しゃもは漢字で「軍鶏」と書くように、シャム(現在のタイ)から江戸時代初期の日本に渡来した当初はもっぱら闘鶏のために飼われていました。「しゃも」の名前も「シャム」がなまったものです。江戸初期に食用にされた鳥といえば、主に鶴、鴈(かり)、鴨、兎でした(獣肉食は禁じられていましたが、兎を一羽二羽と数えて鳥類扱いにして食べていたといわれています)。やがて、南蛮料理の影響でニワトリやしゃもを食用にすることが一般に広がります。江戸時代後期の江戸・京都・大阪の風俗をイラスト付きで解説した本に『守貞謾稿(もりさだまんこう)』という全31巻の大著がありますが、その中の「鶏」の項目では「鴨以下鳥を食すは常のことなり。しかれども文化※以来、京阪はかしわと云ふ鶏を葱鍋に烹て食すこと専らなり。江戸はしゃもと云ふ闘鶏を同製にして、これを売る」とあります。つまり、上方(京都や大阪)では「かしわ」と呼ばれたニワトリを鍋にし、江戸ではしゃもを鍋にしていました。こうして、江戸を代表する名物料理の「しゃも鍋」が生まれました。池波正太郎作の時代小説『鬼平犯科帳』では、火付盗賊改方の鬼平こと長谷川平蔵が、密偵たちとしゃも鍋を突きながら打ち合せる場面が出てきますが、これは庶民の食べ物を部下と共に食する鬼平の気さくさを、しゃも料理を利用して描写したものです。
※元号の「文化」は1804年から1818年の期間。

ブロイラーとしゃも

明治維新後、様々なニワトリの品種が日本に導入されましたが、戦前までは牛肉よりも値段が高い高級品でした。戦後、短期間で成長し、飼料の量に対して取れる肉量が多い肉用専用種の「ブロイラー」が日本に入り、鶏肉が手頃な価格になりました。 ちなみに、ブロイラーとは特定の品種のことではなく、効率よく育つ肉用種の総称です。英語の動詞broil(ブロイル)「肉をあぶる、焼く」に由来しています。ブロイラーの肉は柔らかくて食べやすく、その淡白な味わいゆえに様々な料理に使いやすいですが、その反面、うま味やコクが薄めです。市場があっさりとしたブロイラー一辺倒になる中で、コクのあるしゃも肉を市場に復活させたいという要望が強くなっていきました。それに応えるため、旧東京都畜産試験場(現東京都農林水産振興財団・青梅畜産センター)が中心となって1971(昭和46)年より開発を始め、十数年の研究年月をかけた後に、1984(昭和59)年、ブランド鶏「東京しゃも」を誕生させました。

東京しゃもの開発

東京しゃも
東京しゃもの雄
写真提供 東京都農林水産振興財団 青梅畜産センター

しゃもはブロイラーと比べると繁殖力が弱いことから、まず純系しゃもに、繁殖力の強い「ロードアイランドレッド種」と呼ばれるニワトリの品種を交配させました(これを、二元交雑種といいます)。しかし、純系しゃもの血統が50%になったため、味も淡白になってしまいました。そこで、この二元交雑種をさらにもう一度純系しゃもと交配させて、純系しゃもの血統が75%の三元交雑種が作られました。

東京しゃも

これにより、しゃも本来の歯ごたえやうま味を維持しつつ、繁殖力が強く生産性が高い「東京しゃも」が作られました。ちなみに、ロードアイランドレッド種は、アメリカで品種改良された褐色の卵を産む代表的な採卵鶏です。ロードアイランドレッドのメスを日本の様々な地鶏のオスと交配させることにより、各地の銘柄鶏が生み出されています。ロードアイランドレッドの羽色は濃い赤褐色で、しゃもは黒色や、赤笹、白、灰色が入ったものなど様々ですが、東京しゃもの場合、しゃもに近い黒い個体、ロードアイランドレッドに近い赤褐色の個体など、様々な色のものが現れることがあります。

東京しゃもの特徴

東京しゃも

しゃもは闘鶏用として改良されたニワトリであるため、オスは闘争心が非常に強く、外見は胸筋が発達し、首が直立した勇壮な姿をしています。その闘争心ゆえに集団飼育には向かないため、品種改良の際には、性格のおとなしい、群の中では弱くて順位の低い個体を選別しては掛け合わせることを繰り返しました。その結果、東京しゃもは肉質はしゃもの性質を受け継ぎつつも、気性は穏やかになったため集団で飼うことが可能になりました。

東京しゃも

東京しゃもは肉は堅く引き締まり味わいが濃く、脂肪が少ないため、鍋料理おせち料理雑煮などの日本料理に向いています。生産数が限られているため流通量は少ないですが、料理人たちからはその味わいゆえに高い評価を得ています。青梅畜産センターで生まれた東京しゃものヒナは、「東京しゃも生産組合」に加入している養鶏業者に販売されます。そこで約120~150日間飼養された後、食鳥処理場で食肉に加工され、指定卸問屋を経由して小売店・料理店に出荷されています。

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