
■指定されている場所:町田市
武相ブリュワリーのクラフトビールは、町田市内の飲食店関連企業10社が共同出資して設立した株式会社武相ブリュワリーが製造する、地域発のビールです。
旗艦店である醸造所兼ビアレストラン「BUSO BREWERY」(町田市原町田)を拠点に、地場ビールブランド「Kawasemi Brew(カワセミブリュー)」を展開し、複数の銘柄を製造・提供しています。
武相ブリュワリーの特徴は、単独企業ではなく、市内の飲食関連企業10社が連携して立ち上げた点にあります。
コロナ禍で市内飲食店の売上が落ち込むなか、「このままではいけない」という危機感と、「町田を盛り上げたい」という思いが共有されました。もともと町田では、業種を越えた横のつながりがあり、情報交換や協力関係が築かれていたことが、今回の連携につながっています。
こうした地元企業の取組に対し、町田市も「町田市産業振興計画19-28」に基づき支援を行っています。醸造所兼ビアレストランの施設整備等にあたっては、国の地域経済循環創造事業交付金(ローカル10,000プロジェクト)に採択され、支援を受けました。
町田市は、商業と飲食を基盤に発展してきた都市です。駅前を中心ににぎわいが形成され、多くの人が行き交います。こうした商業都市の特性を背景に、武相ブリュワリーは地域資源を活かしたビールづくりに取り組んでいます。
町田産のホップの活用に加え、市内の老舗茶屋の茶葉を使ったビールづくり、玉川大学と連携した学生によるラベルデザインの制作など、地域内の企業や人材との協働も広がっています。ビールづくりを通じて、地域の資源や人材を結び直す取組です。

ブランド名「Kawasemi Brew」は公募により決定しました。町田市の市の鳥である「カワセミ」と、醸造を意味する「ブリュー」を組み合わせた名称です。
BUSO BREWERYでは、このKawasemi Brewブランドの銘柄を複数提供しています。地域発ブランドとして展開し、町田と神奈川県北部にまたがる歴史的な呼称「武相」地域の名を掲げながら、地元の一杯を発信しています。

Kawasemi Brewの銘柄のひとつである黒ビール「YOAKE」は、インターナショナルビアカップ2025において金賞を受賞しました。
世界22か国から1,562点が出品された国際大会での受賞であり、開業間もない醸造所にとって大きな成果といえます。軽やかでドライな後味を特徴とし、黒ビールの印象を覆す飲みやすさを追求しています。

BUSO BREWERYは、醸造所とビアレストランを併設した形態です。店舗マネージャーであり製造責任者でもある今福亮輔氏が、醸造と店舗運営の両方に携わっています。

一般にブリュワリーでは醸造と飲食が分業されることも多いなか、同一の現場で一体的に行われている点が特徴です。その場で醸造されたビールが提供され、客席から「おいしい」という声が届く瞬間は、つくり手として何よりの手応えだといいます。
日々の発酵管理や温度調整を重ねながら、地域に根づく味を育てています。

武相ブリュワリーが目指しているのは、「町田の人に日常的に愛されるビール」です。居酒屋で何気なく頼む「とりあえず、生」が、地域の背景を持つ一杯として「Kawasemi Brewを飲みたい」と選ばれる存在になること。駅前の店舗を起点に、市内の飲食店へと広がり、やがては町田を代表するクラフトビールとして根づいていくことを見据えています。
地域の素材を活かし、地域の人に選ばれる一杯へ。その取組は、町田の新たな地域資源としての可能性を広げています。